はっとさせられるような、チーク材とビーチ材のコントラストが美しい一台。
多くの美しい家具を生み出した、アルネ ヴォッダーによりデザインされたこちらのイージーチェア。
デザインはもとより、ヴォッダーが得意としたリクライニング機構を備える快適な一台でもあります。
彼がデザインする家具は、フィン ユールにも通ずる繊細、かつ造形的美しさが特徴ですが、
こちらはその美しさとともに、軽快な雰囲気のビーチ材を用いることで、柔らかで可愛らしい
表情を併せ持ち、とても魅力的なバランスで仕上げられています。
ヴォッダーの家具を何度見ても上手だなぁと感嘆してしまうのは、家具を構成する
ラインの描き方。
有機的な…と言われることの多い彼のデザインですが、このチェアでいえばアームや
その付け根、貫のちょっとした緩急のバランスが本当に美しい。
そして、アームに用いた落ち着きを感じさせるチーク材と明快なビーチ材とのコントラスト。
斜め後ろから眺めたときの、低くしっとり構えたプロポーション。
60年を超えてなお褪せることのないプロダクトとしての完成度が、このチェアには
ぎゅっと詰まっています。
もちろん、チェアとしての快適性もないがしろにはされておらず、背と座のフレームをカシャっと
押し上げるだけで角度を変えることができ、ゆったり寛ぎたいとき、快適に長時間の読書を
楽しみたいときなどシーンにソファが寄り添ってくれる、ユーザビリティーにあふれた
使い勝手となっています。
今回張地に選んだのは、デンマーク製の立体感と質感が豊かなウール生地。
柔らかなブラウンとベージュの色味が、複雑な織りで一層魅力的な表情を感じさせてくれます。
別で掲載している2.5シートとともに、リビングの空気感を任せるのに相応しい一脚です。

張地　Danish art weaving / Wales