凛とした美しさ。
数あるフィンユール作品の中にあって、この表現がしっくりくる一番手じゃないだろうか。
まるで生き物のように柔らかなラインを描く、彼がデザインしたチェアの数々。
でも、このジャパンチェアは、フィンユールの香りを確かに感じるも、明らかに他の名だたる
チェアたち(エジプシャンやチーフテン、NV-45、NV-53など、、)とはアプローチが
なんだか違う。
シルエットの端々を見ていっても、モーエンセンの家具のようなビシッと角の立ったラインは
ないし、柔らかなフォルムであることは間違いないのだけれど、引き目で見ていくと気づく。
(僕のように近視の方なら、眼鏡やコンタクトを外せば気付く。)
このチェアは、ものすごくストレートなラインで構成されているのだということに。
知識を入れずに眺めて、その事に気付いてからこのチェアのデザインルーツを知れば
おおいに納得すること間違いなしなのだけれど、このデザインは厳島神社の鳥居から
得たインスピレーションから生み出されているのだ。
心地よくリラックスするためのイージーチェアなのだから、もちろん座り手が背筋を伸ばして
座る必要はなく、絶妙な高さと角度の設計からくる居心地の良さを場にもたらしてくれるのは
間違いないのだけれど、それと同時に意匠的な清楚さのようなものも生み出す不思議なチェア。
そして、おそらくフィンユールが着目したのは鳥居そのものだけではなく、それを生んだ
日本の生活様式。
一般的なイージーチェアと比べて明らかに低く構えるそのフォルムは、靴を履かずに畳で
生活していた日本人と床の距離感を意識したとしか思えず、このチェアに着座したとき無条件に
感じる安心感は、床と直接触れ合ってきた僕たちのルーツから来るものだと感じてしまう。
アームのないイージーチェアだけれど、広い座幅にすっと手を着くとなにぶん心地よく、
それは畳に手をつきながらリラックスするときの感じに相通ずる。
イマドキの家具に目をやると、ローダイニングなるものまでが登場し、ソファも低くすれば
お部屋が広く見えて…という低さ勝負がバチバチ繰り広げられていたりするけれど、その多くは
広く見せることが目的であるがゆえ快適性を後ろのほうに回してしまっていて、結果はそう、
地べたで座るときの背もたれ役としてソファが使われる事になっている訳だけれども、
‘快適である’というイージーチェア(ソファを含めて)としての絶対条件を前提に確りと
デザインすると、低くても快適にできるんだということを、この一脚は教えてくれる。
ジャパンチェアと呼ばれるにふさわしい、日本のライフスタイルにおける THE CHAIR は
これじゃないか!と、声を大にして言いたくなるスペシャルな一脚です。
張地 : kvadrat Coda2
Finn Juhl FD137 ジャパンチェア チーク
型番 |
V1807163 |
maker | France & Daverkosen ( France & Son ) |
design | Finn Juhl |
SIZE | W675 D725 H710 SH385 |
material | チーク |
送料ランク | C |
販売価格 |
0円(税込)
|