すっと伸びやかな後脚とペーパーコードが生み出す軽やかさ。
ひと目でウェグナーらしさが感じられる、柔らかで美しいシルエット。

そして、どこか感じさせる愛らしさ。
デザイナーである以前に、作家的ではなく木工職人としての感性が備わったウェグナーの
デザインは、とにかくビジュアルだけが一人歩きをすることがない。
用途やマーケットニーズに応えるため、そのバランスこそアイテムにより異なるものの、
美しさ、使いやすさ、そして丈夫さをとても高いバランスで具現化するんです。
そして、ウェグナーの癖とでも言いたくなる、直線的なラインと流線的なラインの融合した
絶妙な丸み。
他のどのデザイナーとも違って、少し女性的なんですよね。
でも、安心感のにじむ太さをしっかりと確保していて、それでいて、そう太く見せない。
決して天才肌ではなく、何度もラインを描いて模型を作って、自分のデザインをリデザイン
し直し続けるウェグナーの努力マジック。
常に家庭での使用の延長にあり、あくまで使い手に寄り添い続けるからこそ、こういった
カタチになるんでしょうね。
そして、このCH25はウェグナーの家具の中でも日本人の体型にマッチしやすい。
幅があり、そして奥行きがほんのり浅い座面。
もともと椅子を用いず生活してきた日本人の感性とマッチする、低めの座面。
そして、握り心地が良く安心感をもたらすアーム。
四季を通して、蒸すこともなく冷ややかになる事もないペーパーコード。
洋室とのマッチングは言わずもがなですが、和室とのフィット感は驚くほど。
どんな空間に、というよりも日本の住空間にじわりと溶け込む一脚。

1950年にデザインされたという事は、もうすぐ70年。

昔、という単語の意味を改めて考えさせられますね。

※右アーム付け根部分に補修痕がございます。（拡大写真参照）