もう本当に見つからない、両肘付きの2シーター。
ウェグナーのソファ類の中にあって、骨太な印象の強いGE370。
シルエットは、名作GE290のスタイルを踏襲しているのが明白ですが、GE290をデザインしてから20年ほどの歳月を遅れること生み出されたGE370。新たな工夫とウェグナーのアイディアのもとにリデザインされている事がひしひし、伝わってきます。とてもフレキシビリティーに富んだこのソファは、アームがノックダウン式で取り外し可能。
アームを外して連結をする事で2シート、3シート…とソファレイアウトを変えられるようになっており、今回のような2シートを1シートずつ分けて使うことも出来てしまう。1960年代後半にデザインされた事からも、円熟期のウェグナーがいかに上手に自分のデザインをデザインしなおし、昇華していったかを伺い知ることが出来、つくづくウェグナーの凄さを感じさせてくれます。
そういった面はもとより、やはり大事なのは座り心地。
ソファでもありながら、イージーチェアのセットでもあるこちら。
イージーチェア(安楽椅子)の名に相応しい、ゆったりとした幅。
適度な弾性で長時間の着座でも優しくホールドしてくれ、実に快適な座り味。また、GE290ほど傾斜が深くないのもポイントで、年齢を重ねても立ったり、座ったりの動作に負担が少ないんです。比較的フラットに構えたアームはがっしりと幅広で、マグカップや文庫本を乗せるに重宝この上なし。
とことん使う人の事を考えてデザインされています。もちろん、フレームワークの美しさは言わずもがな。お部屋のキャラクターを選ばずにすっと溶け込み、そして‘くつろぐ’という大事な時間をしっかりとサポートしてくれる心強い作品です。