圧巻の存在感を感じさせつつ、どこかスマートさを漂わせる不思議な一台。
巨匠ボーエ モーエンセンによりデザインされたこちらのソファがそんな印象を生むのは、
きっとアームが無いことと、低くストレートに構えたそのフレームワークゆえのもの。
そして、そういった事とは関係なしに何だか肌馴染みが良いというか、古くから知っている
ような感覚になるのは何故だろうと考えてみると、すごく日本的なシルエットであることが
その所以なのでは、という結論に至る。
それはさながらフィン ユールのジャパンチェアのように、鳥居を彷彿とさせるから。
アームがない3シーターゆえに、設置を考えると嬉しいコンパクトなサイジング。
片側を壁付にしても馴染みが良いし、部屋の真ん中に端正な後ろ姿を自慢するかのように
どんと置いても活きる。
そして何より、さすがモーエンセンとも言いたくなるのは、その計算の上に成り立った
奥行と角度からくる座り心地。
座角がそこまで深くないのに、すっとフィットする不思議な感覚。
キャビネットの印象が強いモーエンセンが、どれだけチェアへの造詣が深かったのかが
座るたび伝わってくる、シンプルな良作です。