GETAMA社の定番モデルGE290に比べると全体に軽やかで上品なシルエットのGE260。GE290よりも3年早い1950年にデザインされ、生産数も少なく現地でもなかなかお目にかかる機会のないモデルです。こちらはその中でもさらに希少なハイバックのGE260A。
脚部やアームはGE240やGE270にも似たデザインですが、特筆すべきはGETAMA社のイージーチェアとしては珍しく張りぐるみを採用している点。張りぐるみだからこそ成せる薄い背もたれの構造ゆえ、ハイバックに懸念されがちな威圧感もかなり軽減されています。
さらに背や座を覆う木部フレームや置きクッション特有の厚みがないことで、すっきりスリムなスタイルを実現。正面から見たときの座面の薄さや、ややソリッドな背もたれのラインなど、華奢でシャープな印象が一連のGEモデルとは一線を画するポイントになっています。
当然座り心地も全く別物。座枠にはウェービングテープが張られ、その上にウレタンのクッションを合わせることで適度に沈み込みコンパクトながらもゆったりとした座り心地を得られます。
1シートソファは構成パーツが少ない分どこにでもあるなんてことないソファデザインになりかねない中、シンプルながらも個性あるモデルをいくつも生み出したウェグナー。その中でも少し希少なこちらは巨匠としての力量を窺い知れる隠れた名作ソファです。
張地:kvadrat Hallingdal65 764 / 側面 130